R-18Gゲームを作りたいのであってR-18ゲームが作りたいわけではないのだなと思ったという話

以前コミティアなどで物理頒布をしていた時に、「この作品に成人向け描写はあるのか(R-18シーンはあるのか)」という質問をされたことがある。正確な文言は忘れた。その時私はないと答えた。その話はそれで終わりなのだが、私はそういった質問をされる前から「自分は性的描写のある作品を世に出したいのか?」という疑問が実のところ結構あった。そしてまあ何故今更ながら表題のようなことを書き始めたかというと、講談社GCLでR-15からR-18G予定の企画を提出して予備選考通って一次で落ちたからである。因みに人生と性質と性格がジャックより若干マシくらいの男が攻略対象に堂々と居並ぶ、地獄のような乙女ゲーム(?)である。Fantiaで前日譚出してたやつの本編企画なので分かる人は「ああアレそういう話なんだ……」と思ってください。

それはさておき、別に一次で落ちたのは「そりゃそう」という気持ちで、スライド自体も四時間くらいで必死に作った突貫だったので、まあ特にショックではない。今更自分の作りたいものが万人受けするとも思っていない。
ただまあ企画したゲーム自体はちゃんと作りたいなとは思っていたので、レーティングを実際どうするかなと思って考え始め、R-18Gで今度こそ性的描写を入れようかなあ、どうしようかなあ、と考え、R-15でもいいんじゃないかなあ、とも考え、色々考えた結果、「いや別に自分、ベッドシーン一ミリも興味ないんだよな……」と思い、だが猟奇は入れたい……と悩み、表題の結論に至ったのである。

「J しかばねジャックと氷の心臓」は元々R-18Gゲームである。まあネタバレになるので詳しくは言えないが、時代背景的には問題ない(問題はある)とは言え薬物の乱用描写ががっつりあるし、薬物で洗脳もするし、×××で××を××××したりもするし、監禁もする。挙げ句自殺教唆もするわ、殺人教唆もするわ、まあまあ本当にあまり倫理的によろしくないシーンが大層あるのである。正直成人向けにしている一番の理由はそこにある。つい最近まで実況禁止にしていたのもそれが理由である。子供に見せたくないのだ。性的描写はほぼほぼない。いやあるけど。ある……あるけども……いっそ消してもいいくらいの描写が……もう消すか? 要らなくないか? いや要るか……要るかな……。まあこんな風に結構悶々としてしまうようなシーンが爪の先くらいにはある。今はまだあるが、製品版で実際にリリースされた時には消えているかもしれない。許して欲しい。

別に成人向け性描写が嫌いなわけではない。いや、実は嫌いなのかもしれない。本当に興味が薄い。映画とかでもストーリーに夢中になっている時にベッドシーンとか出てくるとヴッとなる。某有名な邦画ホラーを見ていたら(多分2?だったと思う)、突然ベッドシーンが出てきて「あっ……ハイ……えと……そゆのいいんで……」という気分にさせられて心底萎えた。ベッドシーンに割く尺があったら他の話書いて欲しいとさえ思っている。エロゲでさえ(以前も書いたが)そういうシーンは全部飛ばしている始末である。とにかく話の流れがエロで寸断されるのが嫌なのだ。多分全然感情移入できないからだと思う。いやでもちゃんとなんかいい感じに見られるベッドシーンもあるしな……多分。あったと思う。多分……。そういうのは自然に物語として捉えているから特別不快な記憶としては残らないので当然記憶にない。

まあ、いずれにせよじゃあなぜR-15じゃなくてR-18Gのゲームを作っているかと言えば、R-18「G」だからである。18禁にしておくと、表現の幅が広がるのである。薬物乱用描写を入れてもいいし、拷問してもいいし、四肢欠損しても別に怒られない(多分)。何より自殺教唆と殺人教唆を入れても構わない。これが大きい。エロも入れられるというのはぶっちゃけオマケである。まあ凌辱とかは(暴力表現として)使いたい時があるので、オマケでも使いたい時は無論使うのだが。あとぶっちゃけ、下手にレーティングを下げて他人からあれこれ言われるのも嫌なのだ。
昔古文の教師が言っていた、「物語の中では現実の倫理や法律が適用されるとは限らない」(みたいなことを言っていたと思う)というのが、私は大層気に入っていて今でも覚えている。そうなのである。物語の中では必ずしも現実に則していなくてもいいのである。登場人物が誰かを殺したいのであれば殺していいのが物語であるはずなのだ。それが物語中で裁かれるかどうかは現実の基準ではなく「物語の」基準であるべきなのだ。物語には文脈がある。その文脈こそが物語の主軸で、基準であると少なくとも私は思っている。誰に否定されたとしてもそこは絶対に譲るつもりはない。

とは言え、結局文脈も読者の分母が多ければ多いほど、読者に寄り添っていかねばならない。『現実に沿う妥協点』を探らなければならない。読者との共感箇所を増やさなければならない。それくらいのことはわかっている。だが私はそれが嫌なのだ。私は私の、あるいは私のような人間のために作品を作っている。私が愛せるものを作っている。それが結局私の持ち味で、創作の意味なのだ。これは諦念であるが、決意、確信、情熱と呼ばれるようなものでもあると私は思っている。

だから私は『自由に』作品を作りたくてR-18『G』を選んでいる。猟奇サスペンス。死んで殺して泥にまみれて、それでも救済を叫ぶのが結局私の作品の本懐なのだ。
それを邪魔されたくないから、物語を読み慣れた18歳以上の人間に宛てて書いているのだ。多分。たまに猟奇シーンがないのは単にその描写が必要ではないと思ったからであってそれ以上でも以下でもない。
そのために私はR-18Gゲームを作りたいのであって、R-18ゲームが作りたいわけではないのである。触れるよりずっと甘やかに、愛を描写するような殺害シーンを描いていたい。目覚めのキスより心を満たす死もあろう。

……まあ、企画のゲームはR-15になる可能性が高いが。でも四肢切断もあるし、薬物乱用も多分あるしな……R-18Gになるかもしれない。わからない。シナリオが出来ないと何にもわからん! ハイ頑張って、馬車馬のように書いていただいて。ハァイ……頑張ります……。消化できないのに原稿だけが増えていく日々。死。アディオス。