TGF2016MC感想まとめ+あとがき

2017/01/14、kaza氏とSOrow氏のお二人が主催のノベルゲームアンソロジー「TGF2016MC」が公開されました。
ありがたいことに、わたくし蔵野杖人もお誘いいただいておりまして、「バード・ダイブ」というSF短編を収録いただく運びとなりました。私のような若輩にお声がけいただき、誠にありがとうございます。その節は大変お世話になりました。ここに重ねて感謝の気持ちを表したいと思います。

さて、せっかくのアンソロジーでございますから、感想を一つ一つこちらでまとめさせていただきたいなと思い、筆を執らせていただきました次第です。ただ私は「褒め言葉だけを並べる」のが苦手でして、また、私も人間であり、好き嫌いもございますから、何かしら作者様及び作者様を好きな方々には色々とご不快なこともあるかもしれませんが、別段誰かを攻撃しようだなんて意図はございませんし、真摯な感情で常に書かせていただいておりますので、できれば一個人の感想だと思って、ご容赦願えましたら幸いでございます。何卒よろしくお願いいたします。

さらに、ついでと言っては何ですが、あとがきめいたものも掲載させていただきます。

それでは以下、ノベル収録順、敬称略にて掲載させていただきます。順序の都合上、拙作「バード・ダイブ」のあとがきが先んじてしまうことをどうぞお許しください。
また、掲載ノベルすべてのネタバレを含みますので、続きに折り畳んで掲載しております。お手数ですが、続きからお読みいただけましたらと思います。
 
 
 

 
 
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1.バード・ダイブ:蔵野杖人
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kaza氏からTGF2016MCのお誘いをいただいた時に、まず考えたのが、「収録させてもらうなら新作だな」ということでした。そもそも古い(ものに限らなくても)未公開の短編は大体トチ狂ったドギツイ人間関係どんづまりのヤベ~やつらの掃き溜めみたいなのばかりでしたし、「折角私の作品を見込んで声をかけてくれたのだから、新作を以てお返しをしよう」とも思ったからでした。

そこで、話をもらった直後に原稿を書き始め、半分ほど書いて大体終わりの目途が立ったので、参加の旨をご連絡させていただいたのだったと思います。よく覚えていませんが多分。頭でプロットを立てただけだったかもしれない。原稿自体は半日くらいで終わったはずなので、後者だったかもな……。因みに作業BGMはマクロスΔの「僕らの戦場」でした。とてもいい曲なので是非皆さん聞いてみてください。「いけないボーダーライン」と「AXIA」もおすすめ。めちゃくちゃ好きです。

ともあれ、そんなわけで新作を書かせていただいたわけです。さて、いかがでしたでしょうか。少しでも面白いと思っていただけましたら幸いです。
他の方が主催で、他にも作者さんが沢山いることを鑑み、いつもの……あの……アレなアレは抑え気味にして、できるだけ一般向けに書いたつもりです。今回はクズもいないし(※登場人物が二人しかいない)人も死んでnいや死んでますが。死んでるな。死んでました。いやでも爽やかに〆たので!? すごく爽やかに〆たはずなので! 炭酸強めのちょっとピールで苦みも入った大人のレモネードみたいなテイストにできたのではないかと!? 思います! 思いたいです! でもコーヒーソーダかもしれない。あの、苦みが舌の上で弾けるやつ。万人受けとは程遠いあれ。ああ、あのかぐわしきエスプレッソ! どこまでもニッチ。無念!

センチメンタル青春SF、という相変わらずの謎ジャンルでございますが、まあ一言で分かりやすくていいかな、と個人的には思ってます。『僕』の今後は気が向いたらどこか別の作品でちらっと書くことがあるかもしれない。というか実は、結構私の作品の登場人物は他の作品で名前や行動だけで出演していたりします。主に私が名前を考えるのがめんどくさいからですファンサービスみたいなものです。多分。サービスになっているかどうかはともかく、そんな気持ちです。スターシステムではなく、あくまで「その世界におけるそのキャラクター」です。大体境遇も似たようなものです。原作とまるで関係はないですが、話を考えていると(私が)楽しいアレ。パラレルパラレル!
作品を追いかけてくれてる方が「あっ、こいつあの作品のあいつだ」と思ってクスッとしてくれたらな、という感じです。ファミリーネームまで覚えてくださってる方が何人いるんだ?って気分ですが、気にしたら負けです。

楽曲についてですが、最初はクラシックを使うつもりはありませんでした。ロボすごでやったからです。私は一度やったことを(少なくともすぐ)次の作品でやるのが比較的嫌いな方です。同じようなものを作るのが嫌だからです。なので、クラシックを使わないで行こう、と思ったのですが、最終的にクラシックで落ち着いてしまいました。悔しい。ただまあ、使うなら使うなりに拘りはありまして、あれはパガニーニとリストの関係というか、「リストはパガニーニの演奏を聞いて憧れ、『俺はピアノ界のパガニーニになるんだ!』と決意した」みたいな話を見て、じゃあ『僕』と『彼女』の関係に当てはめてみよう、と思った次第です。

あと、画像も、最初は写真を使おうと思ったのですが、なんかもうクレジットが増えるのがめんどくさかったのでもういいやと思い、全部描きました。『彼女』の髪の毛がぶわっとなるあのシーンは結構気に入っています。顔を書かなかったのは、めんどくさかったのとあまり顔のイメージを固定化するのもな~という気持ちがあったからです。一応キャラデザはあります。『彼女』の方だけですが。気が向いたら『僕』の方もデザインを起こすかもしれませんが多分やらないと思う。そう言ってたらやるんですがね。

さて、長くなってきたので、このあたりであとがきを〆たいと思います。珍しく色々話をさせていただきましたが、気の迷いだと思うので、次の作品ではこんなに長いあとがきは書かないはずです。多分。

それでは、拙作「バード・ダイブ」を読んで、さらにこのあとがきまで読んでくださったすべての人に感謝を込めて。
また次作や他の作品にてお会いできましたら幸いでございます。

もしご興味がございましたら是非現行で開発中の長編ゲーム「J」の先行配信電子書籍版ヘデラなんぞもご購入いただけましたらと思います。宣伝乙! それではそれでは。

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2.群青の黎明:カナタカ ユウ
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これは詩だな、と思いました。勿論これは小説ではない!と否定するような意味ではないです。
言葉のチョイスが美しさに比重を置かれている(であろう)ことと、一つ一つの文章が短く、改行が多いこと、それから内容が象徴的(そこにある事実を描写しているが本質は描写された事実の裏側にあるという点において)なので、小説と言うより抒情詩的な印象を強く受けました。童話的と言うか、思い出していたのは宮沢賢治とか中原中也でした。私は絶対に書かない(というか逆立ちしても書けない)類のファンタジーだったので、非常に新鮮な気持ちでした。曲や背景も含めて繊細な作品だなぁ、という印象です。

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3.その椅子に座るもの:あおい翔
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ああ~~~~~~~~!!!!!
誠に申し訳ございません。実はこちらを読む前に「六廻り ~龍神使いと幽霊少女~」をプレイしておりませんでしたので、キャラがさっぱりでした……最初清君のことを女だと思ってました……「清お坊ちゃん」というセリフで「!!!???」と思って三回くらいバックログを読み返しました。すまない清君……。
話としては、スピンオフなので、キャラ掘り下げの側面が強い作品なのだろうと思います。咲君はいいやつだと思いますし清君もいいやつだと思いました。あと、清君……お前、死ぬのか……?(不安)
演出面では、効果音の使い方が上手いな~と思いました。私は効果音というのが苦手で、また、まったく使い方もよくわかっておらず、殆ど入れないので、「なるほどそう使うのか」などと感心いたしました。

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4.コカク:ゆたか
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この作品、めっちゃ好きですね。
小説としての文法(一字下げやら三点リードやら)は正直に申し上げて壊滅的の一言に尽きるのですが、そんなことはどうでもいいと言えるほどのパワーがありますし何より面白いです。個人的に、短編として完成度が非常に高いと思います。冒頭で主人公の性格及び立ち位置をバシッと読者にわからせ、世界観も描写されており(まず年号が違う時点で、地球でない可能性も示唆されている)、「境界線」という存在が出てくることでテーマがおぼろげにわかる。そしてその後に主人公である旭が「そっくり」と称した朱流君の外見を対比させながらきちんと描写することで旭の外見もここで理解することができる作りです。旭と読者の感情の動線が一致するので、旭の行動に疑問を抱くこともおそらくないでしょう。特に奇をてらったところもないため、話の構成が非常にわかりやすく、それゆえに読みやすいです。純粋に面白い、この一言に尽きます。
だがきなこイカ墨味はノーサンキューだぜ!

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5.Role:play:中三
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一つだけ、最初に言わせてください。
真希ちゃん……何も報われないし何も救われねえ~~~~~~~~!!!!!!!!(沈痛)
さて、感想です。タイトル通り、役割を演じているわけですね。どこまでもどこまでも、誰もが。真優の夢遊病的ロール(作中でも「舞台」と称されていますね)や真希と真優の「入れ替わり」のロール、真希の殺人犯としてのロールだけではなく、大地もあれは結局、「弟」のロールプレイをしているわけでしょう。真優が好きなのに、弟であり続けるというロールプレイ。というか、あの家族は全員家族のロールプレイをしてるのが寒気しますよね。全員バラバラで、本来は最早家族の体を成していないのにね。

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6.これから朝が訪れる:だも
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吃音症のレイラちゃんが可愛いです。文章、テーマ、物語の構成、等々、なんとなくどこか児童文学的だなぁ、と思いました。
さてエレナちゃんとレイラちゃんの心の交流なわけですが、あの、最後の結末部分が、こう、「えっ終わり!?」と口に出してしまうほどさらっとしているなと感じました。個人的には、もう少し最後の、怒り、からの許し、のカタルシスを、もう少し長めに取ってほしかったかなぁと思います。いやでも、タイトルの「これから朝が訪れる」がオチなのか。長い怒りの夜が終わり、許しの朝が来るという、タイトルへの主題の回帰。うーんそれでもやはり私は書いてほしかったなぁと思います。というか、言うほどエレナがレイラを馬鹿にしていたようには見えなかった。いや私の「侮蔑」のラインが高すぎるのか……そうかもしれない……そもそもエレナちゃんは性根がいい子なので(多分)、あれくらいでも良心の呵責があったのかもしれない。
あと個人的に、やたら食べ物をおいしそうに描写するなぁと思いました。私も甘くてふわふわのシフォンケーキが食べたいです……。

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7.二人の手巾:野山 露
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8.エイプリルラブストーリー:kaza
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9.忘れてしまえるその日まで:SOrow
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