STORY

十二歳、母の死を見た少年は、
己の求めるものを何一つ見つけられないまま、
八年という時を経て青年となった。

居眠りさえも許される平穏な毎日、
自分を慕う美しい幼馴染の少女、
治る兆候も見せない恐怖症。

何の変化もなく、ただ積み重なるだけの時間は、
確かに青年を追い詰め始めていた。

だが青年はある日、とある少女と邂逅を果たすこととなる。
彼女は、戸惑う青年に向けてこう言ったのだった――


「私の心臓を探してくれ」

と。